来年はドル安、これが企業収益と米株の押上げ材料に
- sigma tokyo
- 2019年12月31日
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多国籍企業にとって外国為替市場におけるドルの動向は収益面で大きな変動要因であり、2020年には業績と、そして株価の両面でドル安のメリットを享受する可能性が高いと見られている。
米金融機関の大勢は、2020年にドル安を見込んでいる。ドル指数は、2019年第4・四半期には2.6%、12月には1.5%、それぞれ下落し、2020年見通しがすでに形になって表れている。2019年通年では、同指数は0.5%上昇、ここ5年平均を5%上回る成績となっている。
S&P500指数採用企業は、売上の約43%を海外諸国に依存している。これはすなわち、ドル安になれば、米企業製品・サービスを購入する諸外国にとってはコスト低減につながる。これは、企業業績が好転し、米国全体の輸出増につながる。
バノックバーン・グローバル・フォレックスのチーフ・マーケット・ストラテジスト、マーク・シャンドラー氏は、「海外での売り上げをドル換算すると、業績にはプラスになる。しかし、ドル安の原因が米経済成長の低迷にあるとすれば、為替換算益が相殺されることになる」とした。
同氏の予想では、ユーロが対ドルで継続的に上昇するという。欧州地域での購買力指数(PMI)は底打ちしている模様で、反面、米国では軟化の兆しがあるという。
これは、「米国には悪材料とはならず、海外には好材料となる。なぜならば、米国経済はこれまで好調に推移してきており、欧州や日本よりもかなり高い水準で成長してきたからだ。今後は、成長ペースの格差が縮小することになる」とした。
BTIGの米株式・デリバティブ(金融派生商品)ストラテジスト、ジュリアン・エマニュエル氏は、ドル安見通しには同意するが、これが必ずしも米経済の成長減速によるものではないとみている。
同氏は、中国との貿易交渉第一段階合意、カナダやメキシコとの新通商合意が米経済に好材料として働くとみている。「ドル安には全面的に同意する。それには複数の理由がある。大きな理由の一つは、米国以外の諸国が、米経済に追い付いてきていることにある」と説明している。
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